2014/10/16
脳内の緩みと余裕の絶対性 それは手術いや人生に一番大切なもの
私は手術アレルギー、オペ恐怖症になるくらい手の震えに悩まされた。その時の私は緩みが100%ない状態で、どうにか失敗しないように発覚しないようにだけ神経をすり減らしていた。
だからいま考えるだに恐ろしい!
私にとっても患者さんにとっても病院にとっても。
そんなだから手術の腕はどんどん落ちていった。
上達しようがなかったし、ごまかすこと、言い訳ばかり考えていた。
脳が完全に震えの悩みの虜になっていた。
逆に今の私は自信を持って外科手術をこなしている。
その差は何か?
タイトルのごとく緩みがあるかどうかだ。

私に限らず世の中の名医は、手術時に惚れ惚れするくらいの軽やかな手さばきをする。
もちろん大手術は緊張するだろうし力が入ってしまうだろう。
しかし不思議なことに何故か手さばきだけは、いざとなると力んでいない。
私の経験から、リズムに乗ってくると脳から緩みの指令が来て、大舞台でも力を発揮できるのだ。
緩んだ時ほど脳の潜在能力が発揮されることはないと思う。
手術の腕に限らず、格闘術の達人名人の類も何ら気負ってはいない。
不思議なほど全身の力が抜けている。
だからと言って隙も全くない。
それこそが理想の人間の姿だと思う。
緩みが一番能力発揮に必要だと達人はみんな知っている。
そして最大のパワーとスピードを出せるのはその緩みから急激に力を込めた時だ。
その落差が大きければ大きいほどとんでもない威力を発揮する。
緩みは手や腕だけが緩んでいればいいわけではない。
脳が絶対的に緩んでいなければならない。
手の震え、書痙で苦しむと緩みの感覚をすっかり忘れて記憶が遠のいてしまう。
かといってヨガなどでリラックス感を味わっても、仕事に追われまた体が固まって行く現実もある。
焼け石に水であるし、そもそも震える、力が入るルーツが無意識に根深く定着しているのだから、ストレッチ、ヨガなどでは難しい。
それにどんなに緩めたところで、予期不安が強いとすぐ脳が緊張していく。
そんなこんなで生半可なことでは、硬さしか知らない感覚を緩みのそれに変えることは実に難しい。
だが、脳は一番最近の一番強い感覚(できれば圧倒的な感覚)を忘れはしない。
そこで私がやったことは岩波先生に強烈な緩みの感覚を脳に覚えさせて、家でのトランス呼吸法の訓練時に、その感覚を再度思い出させ、常に緩みの感覚を脳に味合わせ続けた。
そうなるとまずは手術以外のときにいつでも脳から緩みの指令を出せるようになった(他にもルーツ整理や抑圧処理やプラス暗示の力もある)
そして本番の手術の時に、次第にかつてうまくやっていた頃の力の抜けた感覚を取り戻せるようになっていった。
深い脳覚醒トランス状態では全身があり得ないほど緩む。
これは他の人がそうなったり、自分もなる人ならわかると思う。
そして心地よいまどろんだ感覚の中で、深い人は子供時代の感覚に浸れるようになる。
子供時代は全身が柔らかく身構えることも少なかった時代だ。
当然脳が緩んでいく。
それにしばらく浸ることで、緩みを膨らませていくことができるようになった。
そして、メスさばきから何から全てに手術の腕が格段に上がっていった。
以前のようなムキになって力んで焦ってうまくやろうとして完璧な結果をめざしていたときよりも、あろうことか緩みの感覚支配の中で行った手術の方が断然うまくいった。
私は身をもって感覚としてそのスキルを獲得できるようになった。
どうやら手術が下手だなと感じる人は、例外なく緩みがない。
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