2017/10/19
頭が真っ白でパニックに陥りそうな時、深い呼吸法が脳の混乱を止めてくれる
手術は出血との戦いの連続です。
予期せぬ時に出血して、それも大量出血の場合、少なからずテンパってしまいます。
そういう時にさらにパニックを助長させてしまうのは、呼吸量の浅さです。
そして頭に血がめぐらなくなり、さらに頭が真っ白になって、適切な止血対処法ができなくなるわけです。
脳が使い物にならなくなったら、どんなに頭を働かせようと努力しても、すべてが裏目にいってしまいます。
あがり症や書痙や震えの人が、どんな克服法を試してもなかなか自己コントロールできないのは、そういう理由だからです。
これは書痙や緊張児の手の震えで同じことです。
やばい、どうしよう、なんとかせねば!!という気持ちが焦りに繋がり、さらに震えや緊張を悪化させて、理性ではどうしようもなくなるほどテンパってしまいます。
頭が真っ白になったら、もうどうしようもない…
手術のときだったら、いかに出血部位を見極め、出血を最小限にしなくてはいけなくてはならない。
しかも迅速に、短期間でやらなければならない。
助手がいるとはいえ、責任者は自分しかいない。
そういうときほど、私は深いトランス呼吸法をやっています。
深く吸い込み、深く体の緩みを味わいながら息を吐きます。
そうすると、数呼吸で脳が正常な機能を再開してくれます。
そして、出血箇所を見極められるようになり、迅速で適切な対処ができるようになります。
今では脳が研ぎ澄まされるぐらいなります。
手術中のいい緊張感が尋常じゃない集中力を生み出してくれるからだと思っています。
トランス呼吸法で得られた武器をこれまでも書いてきましたが、こういうちょっとした数回の呼吸法でも訓練されたら全然違ってきます。
手術じゃなくても、人がテンパってパニックになりそうな場合こそ、落ち着かなくてはいけません。
落ち着きと余裕だけが自分をコントロールさせてくれる。
トランス呼吸法は、岩波先生のプログラムに必要なだけではなく、自分自身の人生にとっても大きなプラスになってくれる。
だから、とことんまでやり続けたほうがいいという理由です。
昔の私は予期せぬ出血に直面したら、あたふたしていましたが、今では冷静に対処できるようになりました。
それが自信と落ち着きをもたらしてくれる。
自分で手術の腕が上がったというのも、何か危機的状況に陥っても、己ならばなんとか切り抜けられるという自信と実績を持つことができたからです。