2014/11/03
私のあがり症発症時の手術、現在の手術の比較
最近オペが楽しくなってきている。手の震えの苦しみが薄らいできてからは、昔のような神経をすり減らすような疲労感、予期不安感はなくなっていたが、何よりミスが心配で楽しむほどではなかった。
震え克服時期の最初の方は、また震えたらどうしようとか、私よりも偉い人が見ている前で少しでもうまくやろうという気持ちが出て、とても窮屈であった。
のびのびと腕を奮えていない感じがあった。

しかし、今は違う。
手術をすることが楽しみとすら思えている。
患者さんにとっては、命を預けた医師が手術が楽しいと言うのは、ちょっとどうかと思うかもしれない。
しかし、執刀医が手術を楽しんでいるときは、とてもいい手術ができているということだ。
当然外科医にとってミスはつきものだ。
誰だってミスをしていながら、それをカバーしながら手術を成功させている。
もちろん命の危険につながるミスは絶対にしてはいけないが、予想以上の出血は手術をする以上いつでも起こりうる。
そのときの対処法によって、名執刀医かどうかが分かれると言っていいと思う。
人間力や総合力がすべて問われる。
そこでパニックになると余計傷口を広げてしまうが、冷静に対処できたらミスはミスとはならない。
予想外のことが起きるのが手術だ。
今の私はそれすら楽しむことができるようになっている。
不謹慎に思わないで欲しい。
それぐらいの脳の冷静さと余裕を、偉い医師がみている前でも発揮できるようになったからこそ、予期せぬことも刺激となり、私の能力発揮の場として楽しむことができる。
それにつけても脳の余裕は大事だ。
私は昔の悩んでいた頃よりもはるかに脳に枠が広がっていると感じる。
人はミスをする。
しかし何にも増して重要なことは、ミスをしたときにどう対応できるかだ。
そういう対応力、応用力は、脳と心の余裕が無いと出てこない。
余裕が無いと、ミスがそのまま自信喪失と、取り返しの付かない大失敗に悪化してしまうだけだ。
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コメント
オペにおける緊張について
私はBJ先生のようにオペが楽しめません。
異常に緊張して、やっととんとんの手術ができるくらいです。
その緊張のエネルギーを別のエネルギーに転換できるのであれば、私はもっとオペが得意になっていたと思います。
ですから、とても羨ましい限りです。
私は医師になってこの方、一度もオペを楽しいと感じたことはありません。
子供の頃夢に描いていて医者生活とは真逆です。
本当に未来に希望を感じられません。
ただの労働です。
ですが、BJ先生のブログを読み、私だけじゃなかったこと、またオペ恐怖症を克服されたことがどれだけ私に勇気を与えてくれたでしょうか。
本当にありがとうございます。
BJ先生以外にも多くの人が絶賛している岩波先生のプログラムを私も受けてみたいと思っています。
東京、大阪には飛行機で通わなければならないほど遠いところで勤務していますが、覚悟が決まりました。
これからも楽しいオペを続けてください。
私もいつかオペ恐怖症を克服して、子供の頃の純粋なあこがれだった医師になりたいと思っています。
2014/11/22 01:18 by doctorZIBAGO URL 編集